今月初め、AMDはComputexで次世代AI搭載PC向けに設計されたRyzen AI 300シリーズモバイル・プロセッサーを発表しました。これらの新しいプロセッサーは、最新のZen 5 CPUアーキテクチャ、アップグレードされたRDNA3.5 GPUアーキテクチャ、および新しいXDNA2 NPUアーキテクチャを備えています。

AMDは、これらのプロセッサーのモデル番号に直接AI機能を統合し、その重要性を強調しています。

初期ラインナップには、Ryzen AI 9 HX 370とRyzen AI 9 365の2モデルがあります。両モデルとも、アーキテクチャが大幅にアップグレードされており、従来の8コア16スレッド設計から、12コア24スレッドおよび10コア20スレッドを提供します。Ryzen AI 9 HX 370は、4つのZen 5コアと8つのZen 5Cコアを組み合わせており、Ryzen AI 9 365は4つのZen 5コアと6つのZen 5Cコアを備えています。

発表時には詳細な性能指標は公表されなかったが、一部のユーザーは最近、Ryzen AI 9 365のエンジニアリング・サンプルを入手し、予備テストを行っています。

FP8パッケージを採用したRyzen AI 9 365は、32GBのLPDDR5X-7500メモリを搭載したプラットフォームでテストされました。SPEC CPU 2017ベンチマークでは、Ryzen 7 7735U（Zen 3+）およびRyzen 7 7840U（Zen 4）に対し、Ryzen AI 9 365のZen 5コアはクロック周波数4.8GHz、Zen 5Cコアは3.3GHzで動作しました。

Zen 5コアの性能はRyzen 7735UとRyzen 7 7840Uと比較してそれぞれ22.28%と9.71%向上し、Zen 5CコアはZen 5コアの性能の約69%で動作しました。

クロックあたりの命令数（IPC）では、Ryzen AI 9 365のZen 5コアがRyzen 7 7840UのZen 4コアを9.71％、Zen 5Cコアを10.47％上回りました。

その後のGeekbench 5および6テストでは、さらに改善が見られました。Geekbench 6のシングルコアベンチマークでは、Ryzen AI 9 365（Zen 5コア）がRyzen 7 7735Uを約41％、Ryzen 7 7840Uを13％上回りました。マルチコアテストでは、Ryzen 7 7735Uより約52%、Ryzen 7 7840Uより約24%高速でした。

Geekbench 5のシングルコアテストでは、Ryzen AI 9 365（Zen 5コア）がRyzen 7 7735Uを約39％、Ryzen 7 7840Uを約15％リードしました。マルチコアテストでは、Ryzen 7735Uを約68%、Ryzen 7 7840Uを約33%上回りました。

IPC指標では、Ryzen AI 9 365はGeekbench 6で15.3%から17.3%、Geekbench 5で17.7%から18.2%の向上を示しました。これは、AMDが発売当初に発表した平均16%のIPC向上と一致します。

現在のテストデータによると、Ryzen AI 9 365は前世代のRyzen 7 7840Uから大幅に改善されており、マルチコアの理論性能は約20～30%向上しています。しかし、実際の性能向上は、その後のアプリケーション固有のテスト次第となります。

エネルギー効率もモバイル機器にとって重要な指標ですが、この分野の関連データは現在のところ得られていません。

Ryzen AI 9 365のこれらの初期テストは、さらなる最適化の余地があることを示しています。より強力なRyzen AI 9 HX 370は、来月正式にリリースされる予定です。

CPU性能だけでなく、コアグラフィックス用の新しいRDNA3.5アーキテクチャと50TOPSのNPUにより、ユーザーエクスペリエンスの大幅な向上が期待できます。